2019年12月3日火曜日

ドクタースリープ


人が死ぬとき自分が生きた記憶が走馬灯のように思い出される。この記憶の呼び起こしは膨大であり人に語ることが出来ず、人は孤独に死を迎える。だが、そんな記憶を誰かが共有してくれて「いい人生だったね」と優しく言ってもらえたら安らかな死が迎えられるはずだ。そんな役割を請け負う人間が「ドクタースリープ」であり「シャイニング」だ。もし映画「ドクタースリープ」がこのことを多く語っていたら「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」「スタンド・バイ・ミー」のようなに人間を語る映画になったと思う。

2,30年前スティーヴン・キングの小説にはまっていた。化け物、バンパイヤなど悍ましい生き物が我が物顔で暴れるが、それは単にこけおどしだけであり、スティーヴン・キングの小説はそんな悍ましい物語の奥底に人間の「弱さ」「優しさ」「強さ」「悲しみ」など隠されていた。

スティーヴン・キングには悪いがスティーヴン・キングの小説を読むたびに隠された人の心を見つけることが私の楽しみだった。